もこもこ鉄旅部。

乗り鉄・旅鉄・駅ノート絵師(駆け出し)の筆者が、全国津々浦々を鉄道旅でまわったり、駅訪問して駅ノートにイラストを残したりするブログです。

「ドラゴンレール」その由来と震災後 -寒い冬だから行きたくなった東北の旅(1)-

今年(2018年)の2月、10日・11日・12日の三連休を利用して東北に鉄道旅に出かけてきました。

冬の東北だからこそ見られるものがあるのでは?せっかくだから冬らしさを満喫できたらいいな。そんな理由で行先を東北に決めたのでした。

 

 まずは1日目です。

 東京駅で始発の東北新幹線に乗車して、一ノ関で下車しました。

 一ノ関からは大船渡線に乗り換えます。

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 一ノ関を出て東へと進み、陸中門崎を出ると北上し、船下りで有名な名勝、猊鼻渓へと至ります。冬も楽しめるようで、この日も多くの観光客が降りて行きました。

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  猊鼻渓駅を出てすぐ、列車も川を渡ります。ほんの一瞬ですが、川の流れを楽しめます。

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 大船渡線は、「ドラゴンレール」という愛称が付けられています。

 その理由は、路線の形状が曲がりくねっていて、あたかも竜のすがたに似ているから、ということからです。おそらくは、盛駅が頭で、一ノ関駅が尾なのでしょう。

 

 名前はかっこよくて良いのですが、どうしてこのような曲がりくねった形になったのでしょう。山を迂回する必要でもあったのでしょうか?

 

 鉄道ファンはご存知の方も多いと思いますが、これは政治的な争いの結果といわれております。

 その舞台とされるのが、摺沢駅と千厩駅。

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 若干端折りますが、当初は一ノ関から、一直線に陸中門崎、千厩を経由して気仙沼まで至る予定であった大船渡線ですが、摺沢の政治家が、当初ルートから外れていた摺沢を経由し、千厩を経由しないルートへ変更し、一ノ関~摺沢間が開業されました。

 これにはさすがに千厩が反対し、次は対立する候補者が当選し、摺沢から南下して千厩を通るルートを実現したということです。

 

 それで、陸中門崎から北上し、摺沢からは南下するという遠まわりの曲がりくねった路線になったというわけですね。この事例は「我田引鉄」としばしば言われ、その路線の形状は「鍋弦線」と揶揄されることもあります。

 

 千厩を抜けると、気仙沼街道(国道284号線)に沿うようにして、気仙沼まで至ります。

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 気仙沼から先は、震災の影響により鉄道は不通となっています。BRTと呼ばれるバス路線に乗り換えます。

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 気仙沼から次の鹿折唐桑までは、BRT専用道を通ります。専用道といっても、かつては線路だった場所です。トンネルもそのままバスが通り抜けます。このときは、何ともやるせない気持ちになるものです。

 

 鹿折唐桑からは、かつての線路を離れて、国道45号線を進んでいきます。

 やがて海沿いに出て、しばらく走ると「奇跡の一本松」がバスの車窓に見えてきます。

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 べつの座席からは、「あれは作りものだから」という声も聞こえてきました。

 確かに本物は枯れてしまって、サイボーグとかレプリカとかと呼ぶ向きもあり、さまざまな意見や感情があるところでしょう。

 

 そして、バスは陸前高田を経由します。

 果たして、復興は進んでいるのでしょうか。気づけば震災からもうすぐ丸7年経とうとしています。

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 小友からは再度BRT専用道に入り、大船渡湾が見える海沿いを北上していきます。できればこの景色は、バスではなくて列車の車窓から見たかったですね。

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 大船渡を経由して、終点の盛(さかり)に到着しました。駅舎はきれいで、結構広いです。駅舎は三陸の景勝地、碁石海岸の穴通磯をイメージしたもののようです。

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 ドラゴンレール大船渡線ですが、現在では、一ノ関~気仙沼の鉄道区間と気仙沼~盛のBRT区間に二分されています。

 なお、今回は乗車できていませんが、BRTには鹿折唐桑~上鹿折(ミヤコーバスにより運行)、陸前高田~陸前矢作の区間もあります。

 

 次回は、盛駅から三陸鉄道南リアス線の乗車をお送りしたいと思います。

(続く)